NPO法人 pena
penaは「2,500g未満で生まれた低出生体重児(以下、リトルベビー)とご家族が笑顔で過ごせる社会の実現」を目的として設立した団体です。2021年7月に家族会を立ち上げ、2024年4月にNPO法人の登記をしました。
世界では10人に1人がリトルベビーとして生まれていますが、リトルベビーの未成熟な体は特別な治療やケアを必要とするため、出生後数週間から数か月、時には数年に渡り家族と離れて過ごします。退院後も成長・発達や日々の生活が一般的な育児と異なることも多く、現行の制度では支援不足を感じることがあります。ご家族の中には、将来への不安や早産への自責の念に苦しむ方、周囲からの理解のない言葉に心を痛める方も多くいらっしゃいます。そして同じ立場の方と出会う機会が少なく「孤育て」にもなりやすい状況です。
気持ちを分かち合える仲間に悩みや喜びを共有し支え合うこと。地域社会からの応援いただくことは、悩みや不安を乗り越えるための強い心の支えになります。そして、多様な子どもたちやご家族の生き難さを減らすために、行政に当事者の声を届けています。
活動概要
ミッションに「Each Story,One Future」を掲げ、リトルベビーとその家族が笑顔で過ごせ
る社会の実現に向け以下の活動を行っています。
① リトルベビーとご家族が交流できる場の提供
リトルベビーのご家族が同じ立場の仲間と出会う機会はあまり多くありません。NICU 入院中
は子と向き合い、退院後は発達がゆっくりだったり、医療的ケアが必要なため、周りと比べて
傷ついたり、「かわいそう」と思われるのが怖くて外出できないママもいます。
そこで pena では、「グループ LINE、対面交流会、オンライン交流会」等、当事者同士が交
流できる場を提供しています。当事者ならではの気持ちの共感や経験に基づく知識や生活の知
恵等の様々な情報共有を通して、リトルベビー育児に対する不安や孤独が軽減されてほしいと
考えています。
②リトルベビーに関する啓発活動
SNS や HP を利用した情報発信、研修講師や講演の実施、写真展の開催、リトルベビーハン
ドブックの普及等の啓発活動を行っています。
周囲からの悪気のない言葉に傷ついたという声が多く聞かれますが、それはリトルベビーや
リトルベビーの育児を知らないことが理由だと考えています。様々な啓発活動を通して地域や
社会に理解を深め身近に感じていただくことが、地域社会での生きやすさに繋がっていきま
す。
③当事者の声を届け社会を変える活動
行政や自治体に当事者の声を届け、支援の和を広げていきます。例えば極低出生体重児を対
象とした母子手帳のサブブック「かながわリトルベビーハンドブック」の作成が実現したの
は、母子手帳で心を痛めたり使いにくさを感じることが多いというリトルベビーママの声が神
奈川県庁に届いたからです。これまで表に出ることがなかったリトルベビー家族の声を届け関
係各所と意見交換を行うことで、リトルベビーとご家族が過ごしやすい社会の実現を目指して
います。
「リトルベビーハンドブック」は完成しましたが、ハンドブックはひとつのツールでありゴ
ールではありません。ハンドブックが必要な理由を知っていただくこと、小さく生まれた赤ち
ゃんとご家族の想いを知っていただくことが、様々な場面で感じる生き難さをなくすことに繋
がっていくと考えています。
また、当事者同士が互いに支え合うこと、未来のリトルベビーとご家族のために活動を行う
ことは、自己成長や自己肯定感を高める機会にも繋がっています
代表者から一言
第 1 子を 370g で出産したことにより、早産への自責の念や子の将来に対する不安、母子手帳に子 の成長を記載できない悲しみ、正期産婦や定型発達児と比較する苦しみ等を抱え子育てをしてきました。
子が 4 歳を過ぎた頃、「神奈川県にもリトルベビーハンドブックが欲しい。未来のリトルベビーマ マに同じ想いで苦しんで欲しくない」と思い団体を設立しました。そして、SNS や交流会で繋が ったママ達の声を聴き、行政訪問や写真展等の啓発活動を通じ地域との繋がりを深める中で、想像 以上にこの活動の意義を強く感じるようになりました。
子の退院後は世間の厳しさを感じていましたが、pena を立ち上げたことで、当時は気付けなかった優しさや仲間のあたたかさを知る機会が増えています。そういった経験から、当事者同士が寄り 添いあったり当事者の声を行政や社会に届けるだけではなく、差し伸べられているあたたかい支援に皆が気付けるような、そんな発信もできる団体になっていきたいと思っています。pena の由来である「絵の具」のように、それぞれの色(個性)を大切にしながら仲間や社会と混り合える、そんな未来の実現を目指して活動してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。